キャリア教育コーディネーター育成研修を受講したきっかけを教えてください。
私はもともと、会社の中でシニアのキャリア支援をしたいと思っていました。シニア世代は後進への種まきの時期なので、まだまだ元気で活躍できる方たちが、どんな場で活躍してもらえるだろうか?と考えていました。一方で、子どもたちに対しては、親や先生以外に色々な人から色々な価値観を知る機会があると良いと思っていました。そういった場が地域にあれば、シニアの方にとっては子どもと関わるのがうれしいと思うし、子どもにとっては、大人と関わる場や居場所づくりにもなるし、お互いにとってWin-Winになるんじゃないかな…と思ったんです。
ただ、そういったことを目指していく中で、難しさも感じています。会社側からすると、学校や子どもと関わる活動は「地域貢献」の一環であることが多いです。ここ数年は特に社会の変化が激しい中で、そこに手をかけていられないというのが本音なのだと思います。親の立場としてPTAの立ち位置から、親が子どもたちに自分の仕事について話す機会を学校の校長先生に提案してみたこともありました。しかし、コロナの関係もあって外部と繋がるキャリア教育はストップしてしまったこともあり、実施には至らず、敷居の高さや難しさを感じました。こういった活動って、簡単にできるものだと思っていましたが、地域や学校によっても考え方が変わるものなんですね。
現在の活動、お仕事の内容を教えてください。
地域の学校から要望があれば、工場見学を受け入れています。会社としての位置づけは「地域貢献の一つ」ではありますが、学校のニーズには応えたいと思って調整をしています。子ども・学校にとって良いプログラムにするのはもちろん、受入に関わる従業員が「関わってよかった」「自分自身の学びにもなった」と感じられるプログラムを行いたいと思っています。工場見学などで子どもたちを受け入れる際、受け入れする側の従業員としては、初めてのことでどうしていいかわからないものです。そのため受け入れ前にデモ実施をおこなうのですが、担当の従業員が子どもにはわからないような難しい言葉を使っていたので、シンプルで子どもにも伝わる言葉に変えてお話ししてもらうようにしました。従業員の立場としては、こうした取組みに関わることは、自分の業務について深掘りできる機会でもあります。また、普段大人の前では話せないような自分の「夢」について子どもの前で語ったり、「お客様のために」「仲間のために」といった、自分の「想い」を語ったりする機会にもなっています。こうした想いを従業員が語ることで、子どもたちにも伝わるものがあるんじゃないかと思っています。
元々やりたかった「シニアの活躍」については、従業員との個別の面談などの中で、「地域と繋がりたい」「子どもと関わりたい」「自分の力を活かす場がほしい」といったニーズがあれば、繋げられるところを紹介しています。そんな中で、シニアの方と「少年少女発明クラブ」とを繋いだ例ができました。まずは数人で発明クラブに見学に行っていただき、参加されるようになり、そこに今でも通っている、という方も出てきました。その方は技術者の方だったので、ご自身の力や経験が活きるし、子どもに教えて喜んでくれることがうれしかったようです。
キャリア教育コーディネーター育成研修を受講され、役立ったことはありますか。
キャリア教育コーディネーター育成研修で印象に残っているのは、実践コースです。実践コースに参加して一番すごいなと思ったのは、学校の社会人講座に当時の上司に登壇してもらったときに「チームワークが大事だよ」と言った上司の言葉が、子どもにもちゃんと伝わったな、と感じたときです。子どもたちに、働くひとの生の声が届いた感があって、感動しました。
今後の展望、チャレンジされたいことを教えてください。
地域と学校と企業が繋がりあうことで、三者がWin-Win-Winになるのではと思っています。会社は会社の事情がありますが、会社の中にいながら、少しでもその理想に繋げていきたいと思っています。また、期間従業員の方や派遣社員の方のキャリアについても考えていきたいと思っています。正社員の方には、自らのキャリアについて考える機会が設けられていますが、みなさんにそうした機会があると良いと思っています。まずは、私の身の回りの人から支援していきたいと考えています。
キャリア教育コーディネーターを目指す方へのメッセージをお願いします。
「キャリア教育コーディネーター」についての情報を得て、気になったことが「縁」なんだと思います。キャリアは「経験の積み重ね」です。世の中にたくさんある資格の中でせっかく見つけた縁なので、迷うくらいならチャレンジしてみたらいいと思います。私はは受講してみてよかったと思いますし、これからも受講してよかった、と思えるように活動していきたいと思います。