産業界活躍するコーディネーター

山田 素子さん,井上 晴子さん Yamada & Inoue

瀬戸商工会議所
キャリア教育推進コーディネーター
現在の活動、お仕事の内容を教えてください。

(井上さん)小中学校で学校のニーズに合わせてキャリア教育のコーディネートをしています。学校や地域の特性に合わせてプログラムを実施しています。職業講座をやることもあれば、福祉実践教室の一環として車いすバスケットボールの選手の方に来ていただくこともありますし、瀬戸焼を焼いてその器で「瀬戸焼そば」を食べる、なんていう体験もあったりします。プロジェクト学習など、長いスパンで関わっていくようなプログラムもあります。

(山田さん)ある小規模の小学校では、児童が会社を作り、自分たちの会社の名前と理念を考え、それに合う焼き物を自分たちでつくり、値段を付けて実際に販売するような「企業家体験」なども実施しました。最終的には収支計算なんかもするんですよ。児童が会社設立をする際には、地域の会社経営者の方にお越しいただき、「会社の名前はどんな想いが込められているか」や、「会社の理念ってどんなものなのか」というお話をしていただいています。難しい話ではありますが、児童向けにとてもわかりやすく話をしていただきました。陶器を作るときは陶芸家の方、接客・販売をする前にはマナー講師の方に来ていただくなど、要所要所で社会人の方にお越しいただいています。最終的には関わっていただいたすべての社会人の方に来ていただき、まとめの会で発表する、なんてこともしました。この学校では、得られた利益でお菓子を買いに行くのですが、たくさん売れたグループはたくさんお菓子が買えて、少ししか売れなかったグループはお菓子も少ししか買えなくて…これってとてもリアルですよね。この学校は5~6年生が一緒にこの取組みをするので、5年生はそこから「また来年はこう改善しよう」と気持ちを新たにしていました。

(井上さん)教科と連動した講座なども実施しています。ある中学校では理科の「化学変化」の単元と身近な製品がどう繋がっているのか、授業の中で理解させたいと先生から要望があり、ゲスト講師に「花火師」の方にきていただくことになりました。お仕事についてお話ししていただくだけでなく、「花火の色って、こういう金属が燃えることによって出るんだよ」「燃焼という現象が起きているんだよ」、といったお話をしてくださいました。今まではキャリア教育=総合的な学習の時間、というイメージでしたが、この事例は、「教科の中で今学んでいることと、社会や将来がどう繋がっているか」を学べる理想的な形だったなど思います。

(山田さん)こうしたコーディネートをする際に、地域のたくさんの企業と関わりのある商工会議所にいるからこそ、学校に関わってくださる講師の方を見つけやすい、というのはあります。でも井上さんは商工会議所と繋がりのない企業も含めて、最適な方を探してくれていますよ。

(井上さん)商工会議所がキャリア教育をやっている、というので企業さんと繋がりやすいな、というのは感じます。瀬戸商工会議所にいるからこそ、「瀬戸の子どもを、瀬戸の企業と協力して育んでいきたい」という、地域に対する想いは強くなっています。地域の企業がこんなに教育に入っていて、地域の子を育てよう、という想いが強い地域はなかなかないんじゃないかなと思います。

キャリア教育コーディネーター育成研修を受講したきっかけを教えてください。

(井上さん)以前専門学校の職員をしていたときも、ハローワークで相談員をしていたときも、自分の目の前にいる子どもたちが就職することに後ろ向きで、「あれ?もっと働くって楽しいことじゃない?」と思ったのがきっかけです。もっと早い段階で「働くことって楽しそう」という期待感がないといけないのでは…?とずっと思っていました。そんなときにキャリア教育コーディネーターを知り、「私がやりたいのはこれだ!」と思い、受講することにしました。
そういえば20代のときに、同窓会で地元の友達に会う機会が多くて。色んな友達の仕事の話を聞いて、「そんな仕事あるの?」っていうような、初めて知る仕事がたくさんあって、それがすごく楽しかったんです。そのときにはきっと、もう「キャリア」というものに興味があったんだと思います。私は元々教育業界には興味があって、でも「勉強を自分が教える」というイメージではなかったんですが、キャリア教育コーディネーターは直接的に生徒に指導する立場でなく、でも教育に関わる仕事で…そういうところにピンときたのかなと思います。

キャリア教育コーディネーター育成研修を受講され、役立ったことはありますか。

(井上さん)キャリア教育コーディネーター育成研修は、座学よりもグループワーク、実践コースなど「身をもって学ぶ」みたいなことが多くて、自分が記憶している学生時代の学びとは全然違いました。価値観の違う受講生のみなさんと出会って意見を交換して議論して…そして1つのプログラムを作る、といったことが印象的でおもしろかったです。自分で「やりたい」と思って参加したので、学んだ知識を活用させよう、という気持ちで参加しました。

今後の展望、チャレンジされたいことを教えてください。

(井上さん)これまでは小中学校をメインに関わっていたところですが、高校とも関係性を作っていきたいと思っています。高校では「探究学習」が始まっていますので、企業や商工会議所の人脈を使って、協力ができたらいいなと思います。小中学校については、山田さんから引き継いだものをより良くしていきたいです。

キャリア教育コーディネーターを目指す方へのメッセージをお願いします。

(山田さん)普通は出会えない人に出会えるし、いろんな人生を歩んでこられた方の人生について知ることもできるのは、この職業だからこそだなと思います。そういう話って普通は親しくならないと聞けない話ですから。あとは、プログラムを終えた子どもたちの感想を読むときに、「こんなこと感じたんだ」、「あ、伝わってるな…」と思うとうれしいですね。

(井上さん)これまでずっと瀬戸のキャリア教育を推進されてきた山田さんの姿を見ていて、キャリア教育コーディネーターって、公教育の学校の先生から見て、学校外の人でいちばん寄り添ってくれる人なんだと感じます。「キャリア教育」っていっても何をどうやったらいいの?という先生方の思いや悩みを、ずっと山田さんに相談されて来られたんだなと…。「開かれた教育課程」を実践していくにあたり、キャリア教育コーディネーターは学校の先生を支えるひとつの柱になりうると思います。色々なものを抱えて本当に大変な学校の先生にとって、「コーディネーターに相談しよう」と思ってもらえることは、すごく素敵だなと思っていますし、私もそうなれたらいいなと思っています。先生も「味方になってくれる人」がきっとほしいはずです。みなさんそれぞれの、先生方への寄り添い方を見つけていってほしいです。

(山田さん)私はずっと自分の後任のコーディネーターを探していた中で、井上さんにお願いすることになり、本当に良かったなと思っています。これからこうしたコーディネーターの方がどんどん育ってくださると、色々な場面で活躍できると思います。それぞれのコーディネーターの色を出しながら、活躍していってほしいです。


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キャリア教育コーディネーター育成研修

研修には、キャリア教育の基礎基本を学ぶ「キャリア教育実践基礎講習(エントリーコース)」と、学校現場でコーディネートの実践力をつける「実践コース」があります。

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