自治体活躍するコーディネーター

関口 祐太さん Yuta Sekiguchi

飛騨市学園構想 プロジェクトマネージャー
/株式会社Edo 代表取締役
現在の活動、お仕事の内容を教えてください。

今は高校のコーディネーターではありませんが、2018年当時、1つの高校でコーディネーターとしてキャリア教育のサポートをしていました。そのうちいくつかの高校からキャリア教育をサポートして欲しいと依頼が来るようになりました。魅力的な学校作りに伴走したり、総合的な探究の時間で授業を持たせてもらったりしてしました。その後、各地の教育現場やそれを支えている方々の話しを見たり聞いたりしていると、あまりに同じ悩みを抱えている方が多く「今取り組んでいるのは、高校独自の課題ではなく、社会共通の課題なんだ」と気が付きました。

一方で、飛騨市として、保育園から高校までを繋げ、それをひとつの「学園」と見立て、連続性のある学びづくりをしていきたいという構想がありました。高校の学校運営協議会で市長や教育長と繋がっていて、私の立ち位置や役割を知って頂いてたこともあり、プロジェクトを始めるにあたってそれを主導する教育委員会の学校教育課長さんから私に声がかかりました。この話を聞いた時、対象となる方の範囲も広く、全国に前例も少なかったこともあり、とても覚悟が必要な取り組みだと感じましたが、主体となる当時の課長さんの思いを聞き、一緒にチャレンジできたらと思うようにようになりました。

そこから「飛騨市学園構想」のプロジェクトマネージャーとして、チームを作り、目標を立て、スケジュールを組んで、企画を進めたりとプロジェクトを動かす仕事が始まってきました。一番初めに取り掛かったのは「飛騨市学園構想」って何?というプロジェクトの定義や、どうなることを目指すのかというビジョンづくりをしてきました。1年かけて多様な方と議論しながら「飛騨市学園ビジョン」が策定されました。飛騨市でどんな子どもを育みたいか、それを実現するために地域はどうなっているといいのかといったことが書かれています。出来上がったビジョンは端的な言葉にまとまっているのですが、話し合ってきたプロセスを委員さんと共にできたことが重要だと考えています。

今年度は、ビジョンの作成や運営体制の構築が終わり、地域の課題がどうなっていて、どのようなステークホルダーがいるか、などの現状が分かってきたので、ビジョンを実現するための「中心課題」が見えてきました。また7つある各校区では、ビジョンに基づいて、子どもたちの成長を的に学校と地域が協働して学びを創っていく様子が少しずつ増えて来ました。

「プロジェクトマネージャー」に必要なスキルは、本質的な課題を発見する力、解決に向け多様な方と一緒になって向かう力、企画する力、などが必要だと思います。まさに新学習指導要領で言われている、子どもたちにつけたい力そのものですね。まだまだ精進中です。

キャリア教育コーディネーター育成研修を受けたきっかけを教えてください。

理由は2つありました。

1つめは、「学校教育やキャリア教育について深く学ぶ必要に迫られていた」という理由です。

今はそうではないのですが、当時吉城高校は定員割れが続いていたこともあり、廃校の噂が流れていました。話を聞いていると地域も学校も行政も「どうにかしたい。どうしたらいいだろうか」と解決策を模索している状況でした。そんな中、校長先生からの依頼により、もともと企業の研修やリーダーのコーチングを仕事にしていたこともあり、職員研修で地域の方30名と高校の先生30名で「飛騨からどんな人材を育成したいか」というワークショップや、生徒が地域に出て行くPBL(Project Based Learning:課題解決型学習)を行っていました。とはいえ自分自身がもっと学校のこと、教育のことをもっと勉強した上で進めなければいけないと思っていたため、その分野について学びたいと思うようになりました。

2つめは、「地域で動きやすくなるための肩書きが欲しかった」という理由です。学校の先生にとっては内部で説明さえしていただければ、どういった役割の人間なのかは割と早く理解していただけたのですが、地域の方にとってはコーディネーターというのは馴染みのない仕事で、その説明に時間がかかっていました。そんな時、認定キャリア教育コーディネーターの存在を知り、ちゃんと勉強してこの肩書きを持って地域に出て行ったり生徒に接したりすると、今よりも理解してもらいやすくなるのではと考え、講座を受講することにしました。

研修受講はどのようなところで役立ったか

学習指導要領は、文字が多くなかなか読みきるには勇気と元気が必要です。ただこれからの学びや教育の動向を理解する上で、その読み込みは必須だと思います。それを資格試験という目標の中で各地の参加者の皆さんと一緒になって学ぶことで、一人ではなかなかできなかった学びも、良い意味で強制力を働かせて、学びを深めることができました。

今後の展望、チャレンジされたいこと

地方部にとって教育はいい意味でも、悪い意味でも変化のテコになると考えています。そこが盛り上がれば、地域が元気になる元になるし、そこが弱くなっていくと、地域の活力は急速に落ちていきます。会社をわざわざ創業したのも、人口がこれからもっと減っていく日本、そしてその影響を特に強く受ける地方部に役立てる仕事をしたいと思ったからです。「ここで暮らしていて幸せ」と思う方が少しでも増えるような仕事がしたいと思っています。

私たちの目標は、「日本の地方部の教育改革を前に進めていくこと」です。その上で、「飛騨市学園構想」は、きっとその重要なモデルになると考えています。学園構想の取り組みは「どうより良い学校を作るか」を超えた「どう人が育つ地域をどう創るか」という取り組みです。頭も使うし、泥臭さも必要だし、大変なプロジェクトだなぁと日々悩みはつきません。ただ生まれた土地で、子どもたちのためにと一生懸命な多くの方々とこのプロジェクトに関われることは自分にとっての生きがいのようになっています。将来子どもたちに「おじちゃんありがとう!」と感謝してもらえるように頑張りたいと思っています。

キャリア教育コーディネーターを目指す方へのメッセージ

「教育課題」は人口が減り、まだまだ高齢化がすすむこれからの日本にとってすごく重要な課題の一つなのは間違いありません。そしてその課題の本質は学校と社会が「分断」されていることにあります。その解決のために、子どもたちの学びは「学校が担うもの」から「学校と地域・社会が協働して創るもの」という社会の前提が転換される必要があります。

それらを少しでも解消するために、子どもたちの未来に繋がるより良い学びを提供するために、コーディネーターが必要なのですが、まだまだ社会の認知が進んでいなかったり、予算がついていなかったりと課題はたくさんです。

そんな状況で学ばれようとする皆さんは「良い方」に決まっています。(笑)そこで出会う仲間と話すこともすごく視野が広がりました。意義のある、やりがいのある学びだと思います。資格をとることは大変ですが、ぜひオススメします。


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舩坂 礼子さん Reiko Funasaka

キャリア教育コーディネーター育成研修

研修には、キャリア教育の基礎基本を学ぶ「キャリア教育実践基礎講習(エントリーコース)」と、学校現場でコーディネートの実践力をつける「実践コース」があります。

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