フリー活躍するコーディネーター

金子 千鶴さん Chizuru Kaneko

現在の活動、お仕事の内容を教えてください。

私はキャリアコンサルタントとキャリア教育コーディネーターの資格を持っています。両方を活かしながら、中学生から社会人まで幅広い年代の方へ、キャリアカウンセリングを中心とした仕事をおこなっています。

週2回は大学のキャリアセンターで働いています。学生の就職活動の支援をしているのですが、その中で、共通して出てくるのが「自己理解」だと感じます。「自分についてどう思っているのか」や、「どんな自分を伝えたいのか」といったことを学生に問いかけるのですが、大学3年生や4年生で焦っても急に何かの経験が出てくるわけでもなく、それまでの積み重ねがやはり必要なのだと感じています。

自治体の学習支援会場に来ている生徒への、キャリアカウンセリングもおこなっています。

進路先の高校を決める時期くらいの中学生に話を聞くと、「自分はやりたいことがなく、そんな自分にコンプレックスになっている」という生徒が多いと感じます。一般的には夢ややりたいことを持っていることがすばらしい、という風潮がありますが、夢ややりたいことが現時点でなかったとしてもダメではないんだ、ということを知ってほしいと思いながら、子どもたちと面談しています。親など身近なロールモデル以外に、どういう大人に出会うか、は子どもにとって非常に重要なので、キャリア教育コーディネーターが果たす役割は大きいと思います。

こうして活動している中で、キャリア教育コーディネーターの学びは活きているなと感じます。私は、生きる上でのベースは「自己肯定感」だと感じているので、子どもたちには「自分は自分でOKなんだ」と感じながら生きてほしいです。まだ、自分が見えている世界は狭いから、見方を変えれば違う景色が見えることを知ってほしいですし、その支援をしていきたいなと思います。1つの会社でも、チームで働くには様々な強みを持っている人がいたほうが良いですし、社会は多様な人の集まりであることを、様々な経験を通して、子どもたちには知ってほしいです。

キャリア教育コーディネーター育成研修を受講したきっかけを教えてください。

キャリアコンサルタントの養成講座で「キャリア教育」という言葉を知り、興味を持ったのがきっかけです。ちょうどそのころ子どもが小学校に上がったばかりの時期で、詰め込み教育に対して少し疑問があったものの、自分の中で「こうしたらいい」という明確な答えがあるわけではなく‥キャリア教育について自分で調べてみたり、聞いたりしてみました。そんな中、「キャリア教育=生き方教育」、という言葉に出会い、私がやりたいのはこれなのかも‥と思ったんです。そこから、キャリア教育について学びたい気持ちが強くなり、キャリア教育コーディネーター育成研修を受けようと思いました。それまでは全くキャリア教育コーディネーターについて知りませんでしたし、最初からコーディネーターになりたかったというよりは、キャリア教育について知りたい気持ちが強かったです。

キャリア教育コーディネーター育成研修を受講され、役立ったことはありますか。

まずは、研修を受けて、キャリア教育について保護者としても、キャリアコンサルタントとしても、知らないことが多すぎたと感じました。キャリア教育は、キャリアコンサルタントの活動領域に入っているので、「キャリアコンサルタントの資格を取ったなら、キャリア教育もわかるよね」と一般的には見られると思うのですが、キャリア教育について全然知らなかったことに気づき、衝撃を受けました。学校でキャリア教育を行う際の障壁、学校組織についてはもちろん、教育委員会や学習指導要領など、知らないことだらけでした。先生がどれだけ忙しいか、なんとなくは知っていましたが、先生の1日のスケジュールなども教えていただいて、先生と電話が繋がる時間帯など、細かいことも知りました。

あとは、過疎地域の例など、キャリア教育をさかんにおこなっている地域があることも知りました。研修を受けるまでは、漠然と、都会の方が進んだ教育をしていそうなイメージだったんです。

キャリア教育といっても、具体的にどういうことをやるのか、たくさんの事例も教えてもらえました。それまでは「生きていくために必要な教育」というぼんやりとしたイメージ感を持っているだけで、具体的な事例を知らなかったので、とても勉強になりました。そして、キャリア教育について学び、様々な事例を学ぶ中で、「なんでもキャリア教育に繋がる」と最終的に気づきました。その気づきが、一番研修を受けて良かったことです。

今後の展望、チャレンジされたいことを教えてください。

保護者に対して、キャリア教育に繋がる何かをしていきたいです。

キャリア教育を学ぶ中で、私は家庭でのキャリア教育はどうしたら良いのか、興味を持つようになりました。キャリア教育をしらない保護者はまだまだ多いでしょうから、家庭でできるような、保護者向けのキャリア教育をおこなっていきたいです。

私は毎月1回、保護者の方を集めて対話をする場を設けているんですが、最近、性教育をテーマに対話をおこないました。それも生きていく上で必要なことで、キャリア教育になるんです。性教育以外にも、これまで、こどもへの声かけの仕方、マネーリテラシーなど、色々なテーマで保護者の方とお話をしてきました。参加してくださった保護者の方の反応を見ると、「親」という共通点のみを持つ方々といろんな意見を言える、そんな親の居場所づくりもできているなと感じています。子どもの年齢もさまざまですし、多様な人が集まるので、変な気を使わずいろんな話ができているのが良いのだと思います。今後は保護者の方の自己理解や、今の世の中の仕事を知ろう、というテーマでも実施したいと考えています。

また、保護者の方には今の教育の流れを、知ってほしいです。知識を詰め込むだけの教育だけではいけないと思いますが、考えるためには、材料となる知識も必要です。自分で考え行動できる子どもを育みたいと思ったときに、学校だけでなく、家庭で保護者ができること(子どもへの関わり方、声かけも含め)もたくさんありますよ、と伝えたいです。そのためには保護者自身も、アンテナを広げていく必要があると思っています。それは大それたことではなくて、子どもと自分の仕事について語るとか、子どもが考えるきっかけを作る質問をするとか、ちょっとしたことで良いと思っています。「キャリア教育?何それわからない、関係ない」というのではなくて、家でやれるキャリア教育はたくさんあり、子どもにいちばん近い存在である親に、すごく関係しているものだと知ってほしいです。子どもの価値観を作るために、親はとても大きな存在ですから。

キャリア教育コーディネーターを目指す方へのメッセージをお願いします。

少しでも気になるなら、研修を受けてみたらいいよと言いたいです。クランボルツの「計画された偶発性理論」は、キャリアの8割は偶然の出来事によって決まっていくというものですが、キャリア教育コーディネーター育成研修について知って、興味を持ったのなら、この偶然を、ご自身のステップアップの機会へと変えていけたらいいのではないかと思います。

私も、いつ点と点が線になるかはわからなかったですが、キャリア教育に関わりたくて研修を受けてみたら、人脈が広がり、そこから仕事に繋がるようにもなりました。今後キャリア教育に関わりたいのなら、この研修はきっと今後の活動に活きると思いますよ。


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