産業界・自治体活躍するコーディネーター

菊 祥行さん Yosiyuki Kiku

福井市キャリア教育コーディネーター
/サンキ株式会社 代表取締役
キャリア教育コーディネーター育成研修を受講したきっかけを教えてください。

所属している福井商工会議所青年部(福井YEG)の活動の中で、子ども達に私達の仕事内容を伝える「おしごと探検隊 アントレ・キッズ」という取り組みに当初より携わり、その活動を沖縄で発表することになったのがきっかけです。

「アントレ・キッズ」は企業のCSRの一環で始まったもので、発起人は清川メッキ工業株式会社の清川専務です。地元福井で働いている私たちの仕事内容を伝えることで、子ども達のためになることはもちろん、例えばサービス業ならば、子どもから家族に話をすることを通じて、家族と一緒に来店いただけるなどの潜在顧客の獲得にも繋がります。それだけでなく、子ども達との触れ合いからや気づきから、社員のモチベーション向上に繋がるなど、たくさんのメリットが見えてきました。そこで「うちの従業員にもやらせよう」という企業が増えてきました。

そうした活動について沖縄で発表させていただくことになったのですが、その時にたまたま「第1回キャリア教育コーディネーター全国大会」が開催されていたんです。沖縄では、早くから多くのキャリア教育コーディネーターを輩出されていました。コーディネーター同士の懇親会に参加させていただき、キャリア教育コーディネーターという方々がいて、それはどのような資格で、どういう存在なのかを知ることができました。

「アントレ・キッズ」の活動を何年も続けていく中で私は、学校に行って、授業をして帰っていくだけのやりとりを一方的だと感じるようになり、もっと学校のことや教育行政のことを学びたいなと思うようになっていました。しかし、教育委員会の資料を見ても、文部科学省の資料を見ても、分厚くて難しいPDFしか出てこなくて‥「こういうのってどこで学べるんだろう」と思っていたところ、キャリア教育コーディネーターについて知り、興味を持ち、受講することにしました。

現在の活動、お仕事の内容を教えてください。

福井YEGでは、現在も「アントレ・キッズ」を継続していますが、担当するメンバーは変わるので、メンバーに対しコーディネーターの視点でアドバイス等しています。コロナ禍によりメンバーが学校に出向くことができないという問題が出てきた際には、オンラインを活用した「アントレ・キッズ」を5~6校で実施しました。普段であれば、自分たちの目の前に子どもたちがいて、反応がダイレクトにわかりますし、何かあったときもすぐに対応できるのですが、オンラインでは難しいところもあったと聞いています。ただ、オンラインを活用した事例ができたので、例えば「福井の産業を知りたい」という県外の学校に対して、授業を実施することも可能だと感じています。

また現在は、福井YEGの取り組みとは別に、福井市よりキャリア教育に関するコーディネート業務を委嘱され、福井市キャリア教育コーディネーターとして、私含め2名で「福井市キャリア教育プログラム事業」の実施支援をしています。団体・企業・個人から教育プログラムの募集をし、一覧を作るところから、希望が上がってきた学校へのヒアリング、講師との打合せ、当日運営まで、学校と講師それぞれのサポートをしています。2019年度は、のべ40校の小中学校でプログラムの実施がありました。本業である会社経営をしながらのコーディネーター業務は大変ですが、学校や子どもたちに関われるのは大きいです。2018年までは私1人でこの業務を行っていたので、学校と企業の「連絡係」というような役割しか担えなかったのですが、今はもう1名加わったので、学校のねらいにより合うプログラムの提案や企業に対して学校の要望により合わせた授業内容の改善提案なども行えています。

先生との打合せを通して、学年としての動きだけでなく、複数年度に渡る取組みや学級としての取組みなどもたくさん教えていただけるようになりました。子ども達が日々学校で取組んでいる内容について講師の方に伝え、講座当日それについて触れてもらえると、子ども達も「えっ、なんで知ってるの?」と驚いたり喜んでくれたりして、授業の雰囲気作りが可能だったりもします。学校の情報を伝えることで講師側も主体的になり、以前の講座に比べて授業内容をバージョンアップしてくれる講師も出てきたりして、私自身、驚きや楽しみも多くあります。

コーディネートの質が上がることで、子ども達はもちろん、先生の満足度も上がっていると感じますし、より効果的な授業実施に繋がっていると思います。このようなプログラムを長く続けていると、どうしても授業内容がマンネリ化してしまう傾向もありますが、学校の先生方が授業の改善点を伝えてくださり、コーディネーターがその内容や視点を講師にうまく伝えて、より良いプログラムを作り上げることができています。

キャリア教育コーディネーター育成研修を受講され、役立ったことはありますか。

研修では、国の動きや自治体の教育行政の仕組み、学校現場などの話を聞くことができます。学校や教育委員会に訪問する際に、対等とまではいかなくとも、しっかりと相手の方と話ができる、そういう知識を得られたというのは、すごく大きいなと思います。実際に、国の動きや福井市の教育方針、学校現場の状況を踏まえた上で、教育委員会や学校の先生方と教育に関するお話ができています。

「アントレ・キッズ」の取組みを通して学校現場にはお伺いしていたので、教育委員会の先生方とは前々から繋がりはありました。私がキャリア教育コーディネーターの資格を取得したことで、教育委員会の方もそのような資格があるのだと知っていただき、改めてどんな資格なのか調べてもらったようで、そこを境に、接し方が変わってきたようにも思います。以前までは産業界の一員として教育委員会とは意見交換をさせてもらっていましたが、資格をとってからはキャリア教育コーディネーターとしての意見を求められるようになってきました。ここは大きい違いだと感じています。産業界のプロと行政側のプロが相互理解するのはなかなか難しいところもありますが、この資格を取ったことで、行政側が「教育についてわかってくれている」という反応をしてくださるようになったと思います。

今後の展望、チャレンジされたいことを教えてください。

福井のキャリア教育コーディネーターを増やしたいと思っています。産業界と学校、行政の間に入って活動するような人を増やしていきたいですし、そういった環境整備もしたいと思っています。私達が今、福井市でキャリア教育コーディネーターとして活動できているように、新しくキャリア教育コーディネーターになられた人が活動できるような基盤を作っていきたいと思っています。子ども達にとってのスクールカウンセラーさんのように、キャリア教育コーディネーターが先生を支えるお助け役として学校にいる、そんな未来を描いています。

現在、福井市教育委員会では「キャリア教育連絡協議会」を立ち上げていただき、学校と教育委員会、経済界のメンバーが相互に情報交換、話し合いをする場ができています。福井市ではこのように活動できていますが、これからもキャリア教育コーディネーターの存在や活動についての情報発信を続けていき、他の自治体でもキャリア教育コーディネーターの活用に繋げたいと思っています。

キャリア教育コーディネーターを目指す方へのメッセージをお願いします。

私は学校の先生に憧れていたこともありましたが、その道を選ぶことはありませんでした。しかし、子ども達、学校、先生とどこかで関わりたいという思いは持っており、今このようにキャリア教育コーディネーターとして活動ができていることにとても満足しています。自分の子どもの小学校でPTAとして活動しておりますが、その時にも研修で得られた知識が活きています。学校現場に関わることは、今まで普通に生活して仕事するだけでは得られなかった自分自身の世界を広げ、変えることにも繋がったように思います。

キャリア教育を通して、今の先生の悩みどころの手助けができると私は考えています。行政との関係づくりはステップが難しいと感じられるかもしれませんが、子どもや学校との関わりはとても楽しいです。是非、それを楽しんでいただけたらと思います。


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キャリア教育コーディネーター育成研修

研修には、キャリア教育の基礎基本を学ぶ「キャリア教育実践基礎講習(エントリーコース)」と、学校現場でコーディネートの実践力をつける「実践コース」があります。

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